超珍品?ガラス活字発見!!

私の名前は、グーテンベルク。

ドイツ生まれの活版印刷の生みの親。

寿印刷の活字展示室を見学していたら、活字ケースの中にボディーに少し透明感があり、何だか違和感のある活字を発見した。

大きさは初号、15ミリ角で見出し等に使う大きな活字。

実際に使っていたのだろう、インキ汚れで木活字とも鉛活字とも見分けがつきにくい。

どれがガラス活字かわかるかい?

指で汚れをこすってみたら、水洗いしても問題無さそうな素材感なので、洗ってみた…「ん? ん? ん~?」

何だかドキドキした。きれいな透明の活字。見たことも聞いたこともないぞ。

プラスチック?樹脂?

早速、寿印刷の活字印刷の経験者に調査…「知らない」「見たことない」「何これ?活字?」との返答…。

次の方法、インターネットで〔活字 素材〕で検索を試みる。

「ガラス活字」という文字を発見。

ほとんど詳しい情報の無い中で、尼崎印刷(株)様のホームページに次の文章があった。

第二次世界大戦の始まる以前の日中戦争の頃(昭和10年代)からすでに日本では戦争遂行のための軍需物資の枯渇が予想され、その打開策としてとられたのが日米開戦の口火となった日本軍の南方占領であった。
その一方で国内では不要不急の金属の回収が図られ、寺の梵鐘、学校の二宮尊徳像、婦人の貴金属が徴収された。

しかし国の金属回収政策も巧妙で、中小企業を廃業か存続のふるいにかけて、廃業であれば、その会社の持つ物資を今で言う回収ルートに乗せ、しかるべき軍需工場で使用する原材料にした。一方、存続を願う中小の合併会社にはその条件として金属を国へ提出させて、その回収に徹した。

印刷業界からの回収策としては、当社の創立50年史制作時にその書類が資料として残っていた。その趣旨は“業界の戦力増強企業整備に当たり2月14日附兵庫県兵物統第308号を以て貴社を操業工場と決定するが、但し金属供出量である鉛(活字等)100貫也を供用のこと”とある。今となってはその合併企業の規模を量ることは出来ないが、中小の印刷会社での鉛100貫也はやはり大きな負担ではないかと思われる。

このような状況下で鉛活字の代用品として登場したのがガラス活字であった。なるほど融点と印刷時に用紙に当たる軟度は比較的鉛に近いようだ。ガラスであれば生活用品の中にあるものでその回収も比較的しやすいものであった。ただその難点は脆さであった。このことから当社に残っていたリンゴ箱2杯のガラス活字は全て初号であった。

【尼崎印刷(株)様ホームページより引用】

どうやら多少の量産はできていたようである。

鋳造機で鉛の代わりにガラスを溶かしていたのか?生産方法がわからないので…

(株)モトヤさんに電話してみた…
「詳しくわかりそうな者がすでに在籍しません…」

(株)イワタさんに電話してみた…
「当時は母型の販売が専門でしたので、販売した母型がどのように使われていたのかまでは不明ですね。当時の販売記録があるので何かわかるか見てみます。」

(株)築地活字さんに電話してみた…
「ガラス活字?初めて聞いた言葉です。調べてみます。」

ミズノプリテック(株)さんに電話してみた…
「見たことあるけど、詳しくはわからないです。」

寿印刷、最後の活版部長に電話してみた…
「実際に使ってみたことあるけど、インキが乗らず、ほとんど使い物にならなかったよ。さほど普及もしなかったと思うな。」

ますます気になる「ガラス活字」

汚れていたから、埋もれていた。

日の目を見たのは約70年ぶりかな?

左から 鉛活字、ガラス活字、木活字。

ガラス活字についての知識や情報をお持ちの方は是非ご一報ください。

見学もどうぞ。

「私からも、情報提供お願いします。」

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